2012.01.11
過去10年以上インターネット業界にいるのですが、データをいかに入手して、使える形にして、ユーザーに便利な形にするかという課題に取り組んできました。10年前は、「データベース」を入手して、それをサービス提供者側が検索しやすい形に整える、というプロセスが主流でしたが、これからは「データベース」になっていない、なり得ない情報をいかに収集して、加工して、ユーザーにおもてなしを届けるかというテーマも大きくなっていく年になっていくと考えています。
ITやソーシャルメディアがよりおもてなしに役立つ年になるには、雑多とも思われるデータの活用する仕組みを各企業が真剣に考える必要があるということを私のプチ災難話を通してお伝えしたいと思います。
********** プチ災難話の始まり ************
元旦の日の夜、夕食のお弁当を持って我々家族は空港に向かいました。久しぶりの家族旅行で子供たちは大はりきり。飛行機に無事のれたところでいよいよ出発かと思いきやキャビンアテンダントからのアナウンス。
「コンピューターの不具合があり、一度電気をすべて切ります。15分ほどで終わりますのでお待ち下さい。」との内容。
飛行機の中が真っ暗になるという経験は初めてでしたが、まぁiPhoneの懐中電灯もあるし問題ないでしょう、と気軽にクリア。その後電源は戻ったものの、何度となく「もうしばらくお待ち下さい。状況がクリアになりましたらまたご連絡します。」とのアナウンスが続きます。
うーん、サイトがダウンしたときのお知らせの様な内容、これはまずいかも、と思っていたところ、2時間近く待ったあとほどなく
「本便は欠航となりました。」とのアナウンス。
結果、翌日旅立てるかも分からないまま、家族4人は最終便の夜10時のバスで、成田から都内まで戻るはめに。
貴重な休暇の1日が台無しになった上、交通費は東京への帰り以外はこちら持ち。ユナイテッド航空へ最悪の印象を持ちながら、次の日に無事旅立てる事を祈る夜でした。
そして次の日の1月2日、深夜の12時半出発という、幼児を持つ家族には厳しい条件のフライトをあてがわれ、子供にパジャマを着せて再度成田に出発。二人の今にも寝そうな子供たちを抱えながらチケットを待っていると
「あのー、お客様。席が分かれてしまうけどだいじょうぶでしょうか?お客様だけ姓が違うので、(子供たちと主人は外国姓なので、パスポート上は別の姓となっています)予約が(ANAに)移行されたタイミングで伝わってませんでした。」とチケットカウンターの女性が申し訳なさそうに話をします。
「えっ、どうしてですか?元々の(ユナイテッド航空の)予約では、一緒に4名でとってましたよね」と対抗してみるものの、「申し訳ないのですが、本日満席でして、これ以上の事はむずかしいです。」とのつれない返事。
家族の状況を伝えて懇願する私と、座席状況なのかコンピュータのスクリーンをひたすら見つめて調整を試みるカウンターの女性との攻防が続く事30分。結果、2人2人ですわれるかどうかを譲ってくれそうな方と交渉してくださるとの事で話がまとまりました。
********** エピソードはここまで ************
天候不順でもなく、天災でもなく飛行機が欠航になるというのは滅多に無い事なのかもしれません。ただ、予約のグループの単位をきっちりと把握して、引き継ぎの航空会社に情報連携をすれば、2日目にも顧客に不快な思いをさせなくて済んだはずです。緊急の状況で、情報連携がうまくいかなかった状況かもしれませんが、顧客に不快な思いをさせた状況で信頼をリカバリー出来たときにはリピートビジネスが生まれ、そうでないときには、顧客を失ってしまうという分かれ目のポイントでユナイテッド航空は失敗してしまったという事実は否めません。
ユナイテッド航空など、米国の航空会社はその昔、マイレージプログラムを産み出し、顧客のロイヤリティ化に最も力を入れて来た業界だと考えられていました。当然倒産の危機をくぐり抜け、リストラで昔と同様の厚いサービスを提供出来ない状況であると容易に想像出来ます。
ただ、「家族や同行のグループを、グループ単位で把握する」というデータ連携が出来ていれば、今回の様なプチ二次被害は食い止められたはずです。
そこで若干の飛躍はありますが、私の元旦話を今回のトレンドの話に戻すと、「データをどう扱うか」という課題が今年大きなトレンドになると思っています。
ソーシャルメディアの台頭やスマートフォンの成長もあり、留まるところを知らないリアルタイムのデータが発信されている現在、ちゃんと受け止められればより良い顧客対応、ロイヤリティの向上、おもてなしを届けられるデータ(=宝の山)がどんどん生まれています。逆に、顧客を怒らせると、知らない間にソーシャルメディアで悪い評判が流布する危険もはらんでいます。
今年は、顧客が情報を発信しやすくなった今、どのように、サービス提供者が活用出来る形で情報を受け止め、その果てしなく増え続けるデータを、いかにサービス提供者がリアルタイムに活用出来るかどうかが問われ始めてくると思います。
たとえば、今回の話に置き換えてみると、便が欠航になったタイミングで、顧客のフィードバックを求められる形にしたらどうだったでしょうか?
例えば、便の調整に関しても、このような希望をとれば、次の日にどうしても乗せなくてはいけない人数を調整出来たかもしれません。
明日どの便でも良い
X万円払ってくれれば、あさっての便でも良い
全額返金してくれるのなら、もう乗らなくて良い
もしくは、座席に関しても、このようなニーズを把握出来た可能性があります。
ばらばらでOK
グループで一緒に座りたい
グループで近くであれば、分かれても良い
顧客が能動的につぶやく情報が膨大なときに、リアルタイムに活用する事は現状においては非常に難しいですが、逆にサービス提供者が使いやすい形で顧客のニーズを吸い上げられる仕組みを準備してあれば、このようなトラブルが発生した場合にも、リカバリーがしやすかったのではないかと思います。
ソーシャルリスニング(ソーシャルメディアでの傾聴)やソーシャルモニタリング(ソーシャルメディアでの監視)といったキーワードが去年からも言われていますが、傾聴=>行動のプロセスとサイクルをどのように仕組み化していくかが、IT/ソーシャルメディアの活用により世の中の幸せ度がアップしていくかに繋がる大きな鍵だと思います。
<ユナイテッド航空にかんするおまけ話>
ちなみに「つぶやき進化論」でも例に挙がっているエピソードをおまけにご紹介します。
2009年ユナイテッド航空は、以前アメリカのミュージシャンのギターを壊して賠償しないという事故を引き起こし、それに対して怒った被害者がビデオをYoutubeにアップし、1000万回以上Youtubeで再生されています。
ソーシャルメディア時代には、失敗をリカバリーするチャンスもありながらも、放置する事で災害が拡大するという事を肝に据えたいものです。
2011.12.14
今年は日本もフェイスブック元年となり、Google+ ページ、Mixi ページ、LinkedIn日本語版も始まり、Twitterのブランドページも限定公開間近と、正にソーシャルメディア群雄割拠年とも言える年でした。
驚く事に、北米やEUを超えて、南米では来年度ソーシャルメディア活用を唱える企業は78%と正にソーシャルメディアを使う事が当たり前の世界になってきている様です。
<図1> 地域毎のソーシャルメディアの利用率
また、図2を見ると、主なソーシャルメディアの活用目的としては、広告(53%)、顧客とのコミュニケーション(51%)に続き、リクルーティング(43%)と上がっているのが興味深いポイントです。日本でも就職活動の学生をターゲットとした企業のフェイスブックページが一気に増えましたが、今後Linked In が伸びてくればそういったリクルーティングに適したソーシャルメディアが来年伸びる可能性も大きいでしょう。
また、eMarketerのブログによると、後進国の経済的な伸びにより、BRICやラテンアメリカでのインターネット普及率が高まるに従って、ソーシャルメディアの活用も高まってると解説されてます。
また、「ヨーロッパは経済的停滞に気をとられてばかりいずに、長期的なソーシャルメディアの機会を見逃すべきではない」と、Grant Thornton UKのMark Henshaw氏は語っているそうです。
みなさんの会社では、来年度はソーシャルメディアマーケティング、どんな点に力を入れられる予定ですか?
弊社では、Facebook ページだけでなくグループの活用、Google+ページの活用などにも取り組んでいこうと思っています!