リスクについて考える
2012.01.15
安心・安全の意味内閣改造後の消費者相が「消費者の安全安心の確保に取り組みたい〜」と抱負を述べたように、よく日本では「安心・安全な〜」といったスローガンを耳にすることが多い。普段何となく聞き流してしまっているが、「安心」「安全」の意味合いは元来並列で表現するように類似したコトバではなく、むしろ対極的な意味をもつということを敢えて共有したい。
昨年、テレビ番組で某大学の有名講師による興味深い講義を見たが、同氏曰く、「安全」とはリスクを取る考え方で、「安心」とはリスクを排除する考え方とのこと。例えば、海外旅行にいくかどうかという選択において、飛行機が墜落するかもしれないリスクと海外に行くことで得られるベネフィット(=便益)を比較して決断するものと考えるならば、飛行機が墜落するリスクについて自分なりに情報を集めて判断を下すのが「安全」であり、「飛行機なんか滅多に堕ちないので安全ですよ」という旅行会社のコトバを信用することが「安心」といったことかと思う。「安心」というコトバは英単語で対訳の見当たらない日本特有の考え方のようで、辞書を調べても「peace of mind」や「freedom from care」という表現しか見当たらないが、まさに「リスクから逃げる」、もしくは「リスクについて考えることをやめる」ことが「安心」の本義なのだろう。
リスクについて考えよう
日頃から身の回りに潜むリスクをいちいち気にしていたら、確かにストレスが増大して平穏無事な日常生活を送ることはできなくなってしまう。自動車事故の惨状ばかり調べていたら車に乗ること自体が嫌になるだろうし、放射線に神経質になりすぎてしまうと外食などできなくなってしまうだろう。
ただ、「あまりにもリスクに無頓着でありつづけると、いつの日かそのツケを自分が払うことになる」といった長期的な視野に立った危機感が、我々には欠けてしまっているのではないか。このまま政治改革が進まなければ国家財政が破綻するというリスクに対して、国政選挙の投票率が6割程度でいいのだろうか? また、新しい産業が興らないと更に経済が失墜してゆくリスクに対して、ベンチャーを支援する制度はこのままで充分なのだろうか?
リスクから逃げる無作為のことをリスク・アバースという。
原発が安全だというコトバを聞いて安心してきた我々は震災を通じてリスク・アバースな態度を改める切っ掛けを与えられているのだから、今一度、10年単位の長期的な視野に立ってリスクについて考えてみるべきではないか?
リスクをとる勇気私は、10年前に父が若くして急病で他界したことを通じて「普通に暮らしていたら自分も平均寿命まで幸せに生きれる」ということが当たり前ではないという事実に直面した。とても辛い出来事ではあったが、自分の限られた人生を全うすることを前向きに目指そうと思い、それまで会社を辞め転職できる保証もないままWEBビジネスへの転身を夢見て渡米し、今日に至る。
「諸行無常」というコトバにはいくつかの考え方があると思うが、「いつまでも生きてゆけると考えるから死別が苦なのであり、明日はないと思えば今日生きていることが幸せに感じる」ということだと私は思う。私の場合、父の死が「諸行無常」を説き、明日はないという精神のもと私にリスクをとらせてくれた。世間一般でいうところの安定した大企業を私は何度か辞職しているが、客観的にみてそれがキャリアにおいて成功なのかどうかはさておき、社会的・経済的なリスクを上回る「自身の成長」という大きなベネフィットを私は得ることができたと思う。
さて、我々を取り巻く環境に明るい未来の明日はあるのだろうか?
もしリスクを感じるのであれば、「明日はない」の精神で思い切って新しい環境にチャレンジしてはどうか?
我々は変わらなければいけない徒然と書いてきたが、これからの世界をリードする20代、30代で特にこれからのキャリアについて迷いを感じている人々には改めてリスクについて考えて欲しい。これからの激動の時代を生き抜く素養やスキルを自分は身につけられるか否か。今の仕事、勤めている会社、就職しようとしている会社が繁栄することができるかどうか。この国の政府が我々の安全な生活を保障し続けられるかどうか。
戦後50年でインターネットというインフラができあがり、それによりあらゆる業界で世代交代が進み、(特に昨年あたりから)大きなパラダイムシフトが始まった。大量消費から多様な消費へ。メディア中心から消費者中心の情報発信へ。唯物の世界から精神世界へ。
そんな激動の時代のなか、ビジネスの世界でも企業(もしくは個人)が過去の成功体験に固執すればするほど新しい時代の本流から離れてゆくというリスクが日々増大している。つまり、世界的に有名な大企業であってもリスク・アバースな姿勢で変化を恐れていると明日はない時代に突入したのだ。
私は大企業でのキャリアを否定するつもりは全くない。強い危機感から時代を越えて繁栄しつづける企業もあるし、会社が社員に変革を求め、個人がリスクをとって成長できるケースもあると思う。ただ一般論でいえば、大企業には大きな既得権益があり、既得権益というものはとても捨てがたく、既得権益に相反する新たな時代のルールに挑戦するリスクはなかなか取れないものだ。この激動の時代での最善の処世術は、変化を恐れず、新しい時代のルールについて勉強し、失敗するかもしれないリスクをとり続けることなのではないか。既得権益のないベンチャービジネスはそれらを実践する最善のフィールドだ。われわれOrinoco Peatixでも、リスクを恐れず果敢に挑戦する人材を心待ちにしている。
現在(2012年1月16日時点)Orinoco Peatixで募集しているポジション
- プロダクトマーケティングマネージャー/Product Marketing Manager
- ソフトウェア開発エンジニア/Software Development Engineer
- PeaTiX エバンジェリスト
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